2025.11.12
極小美術館

高校の友人から、恩師の訃報を聞きました。
岐阜県揖斐郡池田町にある「極小美術館」を主宰していた彫刻家 長澤知明先生です。
11月4日にお亡くなりになりました。

わたしが高校生の時の先生は、美への厳しい視線で生徒たちの作品を酷評される怖い先生という一面もあれば、
美術概論を教えながら、西洋美術に描かれた聖書の教えを独自の解釈で面白おかしく解説してくれるという
楽しい一面もあり、今でも同級生たちの心の中に思い出がたくさん残っている魅力的な先生でした。

若手の作家たちが作品を作っても、それを発表する場所にかかる費用の捻出に
大変な思いをすることで息跡切れし、消えていくという厳しい現実に目を向け、
若手の作家を支えるため、また現代美術家を支援したいという思いから晩年は極小美術館を立ち上げられました。

こちらは、先生が岐阜新聞にて毎週土曜日2か月間執筆されていた随筆集です。
極小美術館は多くの作家たちの発表の場所となり、そんな先生の思いが広がって行った功績は素晴らしいと思います。

先生がお亡くなりになる2日前に友人が極小美術館を訪ねて行った時の写真をお借りして
ブログを書かせていただいています。
この時の展示は「北村武志展」。
長澤先生に大変影響された作家さんです。
この作品は若き日の長澤先生を描いたもの。
閉館されることがわかっていた北村さんは、「長澤先生と出会えたことで作家として続けられた今の自分がある。」という思いを作品にされたようです。
イタリアで寺院のステンドグラスの補修をされていた先生とそのころに出会った青い瞳の少女・・・
「そんな話も先生から聞いたよね。」と友人と話していました。

真の芸術家で一生を終えられた長澤先生。
思い出は消えず沢山の人の心の中に生き続けています。
日本の現代美術家が、先生が思ったように活躍できることを、私も願っています。
長澤先生、どうもありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。